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タイにおける中間申告 - 日本との比較


タイの会計業務

法人税の中間申告について


 中間申告とは、事業年度の途中で、当該事業年度の概算税額を算出し、その内容を申告の上、税金一部を中間納付する制度です。日本とタイにおける法人税の中間申告の違いについて、説明したいと思います。


日本の場合


 法人税で中間納付方法は、①前事業年度の法人税額の1/2を納付する方法(予定申告)と、②事業年度開始から6ヶ月の期間をもって仮決算を行う方法が有ります。


 日本では中小企業については、ほとんどの企業が前者の方法を採用し、税務署から送付される予定申告書に記載された中間納付額に基づき、所轄税務署に申告・納付するだけで中間申告が完了します。税務上、前事業年度が赤字で納付法人税額が無い場合であれば今期相当の最終利益が見込まれる場合でも中間申告の納付額がゼロでも問題は有りません。


 なお、合併法人を除く新規設立事業年度または前事業年度の法人税額が20万円以下の事業年度の場合、中間申告・中間納付は不要です。


タイの場合


 当該事業年度の収支を計算の上、所定期間内に中間申告(様式P.N.D51)し、法人税が発生した場合、予測した年間税額の1/2を納付します。(日本のように税務署から予定申告書は送付されません)


 注意点として、決算時課税所得と中間申告時推定課税所得との乖離割合が25%以上不足した場合、ペナルティ(追徴課税)の対象になります。


タイの中間申告におけるペナルティ(追徴課税)について

 所轄歳入局が25%以上不足の乖離率を見つけ、会社に追徴課税に関する通知書が送付された場合、中間納税不足額の20%に対する加算税が課されます。但し、会社が歳入局からの指摘がある前に、自主的に中間申告の修正申告を行った場合、追徴課税の軽減措置を受けることができ、具体的な内容は下記のとおりです。


(a) 申告期限の翌日から2日以内に中間納税不足額を納付した場合、延滞税 0.1 %の適用。

(b) 申告期限の翌日から2日が経過し7日以内に中間納税不足額を納付した場合、延滞税 0.5%の適用。

(c) 申告期限が 7 日以上、中間納税不足額を納付した場合、延滞税1.5%の適用。(追徴課税20%を上限とする)


 様々な要因により、中間申告予測が難しい場合、歳入局告示No.Por.50/2537に基づく合理的理由を引用し、前事業年度の法人税額の半分以上の中間納付を適用することにより、ペナルティを回避することができます。(前事業年度赤字の場合は引用不可)


ペナルティ(追徴課税)を避けるには?


 日タイを比較してみると中間申告については、前事業年度の法人税額の50%以上を納付した場合はタイについてもペナルティは無いのでその点は日本と変わりはないということになりますが、万一、税金還付が発生した場合、還付請求による税務調査の対象になり、別の追徴課税のリスクが生じます。詳細は会計事務所にご確認いただければと思います。


 結論としましては、タイにおいてはなるべく少ないぎりぎりの金額で中間申告額を見積り、決算間近に修正申告が必要ならば行い、加算税を回避するという方法しか無いのが現状です。


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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